土について
- 蛸澤

- 2024年9月3日
- 読了時間: 6分
2024.9.3
私も日々、試行錯誤を繰り返してベストな用土の配合を考えています。
チタノタの根作りに密接に関係する用土。
用土を考えるにあたって以下のポイントに私は気をつけています。
■大株用または子株用か
・大株=理想の大きさになり完成に近づいた株で
ここで肥大化を止めて完成度を上げていきたい
・中株・子株=どんどん大きくなって欲しい
今回は普段触れ合うことの多い中株・子株用の用土についてです。
私の方で普段使用している用土のことを説明する形となります。
■水捌け
水捌けは良いことが理想とされています。
極端に言うと、砂利とフカフカの土だと
アガベは砂利の方が合います。水捌けがいいから。
しかし、子株に関してはある程度 水もちの良い用土にした方が良いです。
植物なので早く育ちますし、健康な葉色になります。
水捌けの良さは確保しつつ、水もちも良くするために
用土の大きさを細粒と言われる大きさに揃えています。
粒の大きなものより水もちがよくなります。
■配合用土
まだまだ研究中ではありますが、用土の配合について
意識しているのはpH値です。
日本の水道がpH7-8のアルカリ性ということを踏まえ
それに合わせ鉢内が中性になるような用土構成を心がけています。
理由は、アガベが生息する現地の土壌はアルカリ性ですが
雨が酸性で中和されているため
用土と水の2つの要素を合わせた上で
できるだけ現地の環境に合わせたpHを目指しています。
・赤玉土(ph6.0:弱酸性)
通気性や水はけ、保水性のバランスに優れている用土です。
水もちが良いので子株の時には入れています。
用土を酸性に傾けたいので使用していますが、崩れやすく
崩れた場合水捌けの著しい低下に繋がるので植え替え頻度の少ない大株では使用しません。
・日光砂(ph4-5.0:酸性)
通気性・保水性が良い用土 硬質な鹿沼土です。
強い酸性で赤玉よりも崩れにくいので個人的にはかなり好きです。
デメリットはコケが生えまくる
・日向土(ph6.0-7.0:中性〜弱酸性)
通気性・排水性に優れた用土です。
水捌けをかなり良くしてくれるので、アガベとは相性がいいです。
子株〜大株までずっとお付き合いがある用土です。
ボラ石とも呼ばれていて、なんにも栄養はないです ただの水捌け爆上げ用土です。
・ゼオライト(ph6-7.0:中性〜弱アルカリ性)
小さな穴がたくさん開いている鉱石。
通気性と保肥性がたかく、土壌の浄化的な作用もあるらしいので
用土の風紀委員的な気持ちで入れています。
・竹炭 or 炭化鶏糞(ph9.0:アルカリ性)
用土の浄化作用と土中の微生物達のお助けもしてくれるので入れてます。
鶏糞は、肥料としても使用していて窒素以外のリンとカリを多く含むので使用しています。
・堆肥(pH8.0:アルカリ性)
子株に栄養が必要なので
完全に発酵して熟したものを使用しています。
しっとりした堆肥は用土に入れる前に乾かしてから投入。
これ入れてからさらに育ちが良くなった気がします。
上記の6種類の用土を混ぜ合わせ
水道水でのph測定において
phが6-6.8の弱酸性くらいになるように調整して用土を作成しています。
私の育成環境は、室内で
11時間のLED照射 / 風は強め(夏場は特にきつめに)
月火水(腰水期間)木金(乾き始める)土日(乾く)で週のほとんどは水がある状態。
といった形です。(繰り返しますが 子株〜中株での話です)
もし、ご覧になられている方の環境が
外管理で雨ざらし(水道水は使わない)の環境でしたら日本の酸性雨の影響で酸性に傾きやすいので用土のphをさらに調整した外管理用の用土を使用することが望ましいと考えます
■根のこと
用土と密接に関わってくる根。
アガベの地上部分である葉や鋸歯の部分は根の作り方で大きく左右されると考えています。
どんな根がよいのか、おおまかに言うと側根や毛細根と言われる細い根の割合が多い方が良いと考えています。
根には2種類あります
・主根
・側根
この側根は、主根に比べてチタノタの完成度をあげるような栄養分を
多く吸収すると言われています。
現状で側根の割合を上げる有効な方法としては
・団粒構造としっかりつくる(用土の粒の隙間にしっかり空間がある)
・サークリングを防ぐ(主根が永遠に伸び続けて側根を出さなくなってしまう原因)
ことが大事だと思います。
逆に主根ばかりが増えてしまうといわゆる徒長的な見た目になりやすいと考えます。
私の用土では、植え替え時に確認してみましたが
側根の割合が多くサークリングもしていませんでした。
サークリング防止においては、育成鉢にも大きく関係します。
僕はプレステラ90をメインで使用しています。
鉢に関しては、もう少し最適なものを探してみたい気持ちもあります。
■環境に合った用土を
先ほども少し触れましたが
一番大事なのは、自分の育成環境に合わせた用土を作ることです。

私は室内では、自作の温室の中で管理しています。
温室は5つあるので、それぞれに微差はありますが
照射時間は5-9万Luxを11時間程度
温度は夏は20℃-35℃、冬も生育させるため15℃-25℃で管理。
(理想は、通年15-25℃ですが、エアコンずっとかけられないよ)
風を強めに当ててそこそこのペースで水が乾くような環境です。
室内で管理されている方たちと大きく何かが違うわけではなく一般的な環境だと思います。
私は水やりを1-2週間に1回程度にしたかったのでバットに水が溜まるようにし
月曜日にバットのひたひたまで水をやり、鉢内まで乾き切るのが大体日曜日あたりくらいの量で調整しています。
室内育成においての色々なトラブルに対応しながら、今の用土に落ち着きました。
元々は小粒の大きさで用土を構成していたのですが、小さい株はどうしても成長が遅く
さらに小さいサイズの粒に統一し、用土のバランス、堆肥の使用など色々な調整を行い
室内用に最適化した用土となったことを実感しています。
なにより、子株から中株までの成長が早く、トラブルも少ないのは本当にラクです。
子株チタノタはどっかでトラブっちゃうと復帰までまじで時間かかる子が多いので・・・
これは、同一TC株による同一環境での用土違いでの実験です。
(施肥は無し)
左:赤玉/鹿沼/軽石の細粒で構成した、かなり水もちを良くした用土A
中:現在も使用しているオリジナルの用土B
右:赤玉/鹿沼/軽石/ゼオライト/炭などを小粒サイズで構成した用土C
葉の状態も鋸歯も成長スピードも
かなりの差が出たこの結果を受けて、子株状態にはピッタリの用土だと確信しました。
そして、オリジナル用土による実生株の成長過程です。
植え替え時に根を確認したところ理想的な根の張り方でした。
しっかり鋸歯も出てきてポテンシャルは引き出せてきたと感じています。
そして、上記の66番実生株のように中株になってくると
さらに数ヶ月後の未来、大株への仕上げの段階に差し掛かると思います。
そうなると、今まで話していた用土からさらに工夫が必要になると思ってます。
具体的には、
・用土を小粒サイズへ
・phのバランスは変えずに赤玉を減らす(植え替え頻度低下のため)
・水捌けの向上
・陶器鉢を見据えた根作り
などなど、まだ実験中ですが用土が固まり次第追記させていただきます。
紹介した用土は、子株〜中株用として室内用 / 屋外用の2種類を作成する予定です。










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